ガソリン暫定税率廃止は警備業にプラスに働くのか?

五輪警備保障株式会社のブログをご覧いただきありがとうございます。
連日ニュースで取り沙汰される「ガソリン価格の高騰」と、それに関連する「暫定税率の廃止(トリガー条項の発動)」の議論。この問題は、私たちの日常生活に大きな影響を与えるだけでなく、実は警備業という業界にも無視できない影響を及ぼします。
ガソリン暫定税率が廃止された場合、警備業にとってそれは「プラス」に働くのでしょうか? それとも「マイナス」に働くのでしょうか?
今回は、地域の安全を守るプロである私たちの視点から、この問題が警備業のコスト構造、事業運営、そして社会全体に与える影響を徹底的に分析し、解説します。
1. 警備業とガソリン代:切っても切れない関係

警備業、特に私たち五輪警備保障が得意とする交通誘導警備、施設警備、イベント警備の全てにおいて、車両の使用は不可欠です。ガソリン代は、警備会社の運営コストの中でも主要な変動費の一つとなっています。
1.1. 警備業における車両使用の実態
| 警備の種類 | 車両の主な用途 | ガソリン消費の特性 |
| 交通誘導警備 | 警備員の現場への送迎、資機材の運搬 | 現場が広範囲に及ぶため移動距離が長く、消費量が多い。 |
| 施設警備(巡回) | 広大な敷地や複数の拠点間の巡回警備 | 定期的な巡回による走行距離が多く、消費量が安定的に発生。 |
| イベント警備 | 大規模イベント資機材運搬、緊急時の移動 | 開催場所までの長距離移動や、イベント中の待機・緊急車両用燃料。 |
| 営業・管理 | 現地調査、顧客訪問、現場管理者の巡回 | 営業範囲が広ければ広がるほど、消費量は増大。 |
このように、警備車両や送迎車の燃料費は、警備サービスを提供する上で必要不可欠な原価です。ガソリン価格の変動は、すなわち事業コストの変動に直結します。
2. 暫定税率廃止が警備業に与える影響分析

現在、ガソリン価格に含まれている暫定税率(約25.1円/L)が廃止された場合、理論上はガソリン価格が大幅に引き下げられます。この変化は、警備業の運営にどのように作用するでしょうか。
2.1. 警備業にとっての「プラス要因」:直接的なコスト削減
暫定税率が廃止され、ガソリン価格が下落した場合、警備業にとって最大のメリットは運営コストの大幅な削減です。
- 燃料費の削減: 警備車両や送迎車のランニングコストが直接的に減少します。特に、多数の現場を抱える警備会社や、広範囲をカバーする地方の警備会社ほど、この恩恵は大きくなります。
- 価格競争力の向上: コストが下がれば、その分を警備料金に反映させる余地が生まれます。これにより、同業他社との競争優位性を高めることが可能です。
- 経営の安定化: 変動費の中でも大きな割合を占める燃料費が安定すれば、経営計画を立てやすくなり、利益率の改善に繋がります。この利益を、警備員の待遇改善や最新警備機器への投資に回すことも可能になります。
2.2. 警備業にとっての「マイナス要因」:価格転嫁の難しさと間接費の増大
一方で、暫定税率廃止には警備業特有の事情からくる「マイナス要因」も存在します。
A. 価格転嫁の難しさ
警備サービスの料金は、主に人件費(警備員の人件費)と車両費・資機材費から構成されます。燃料費が下がったとしても、サービスの特性上、安易に料金を下げることはできません。
- 人件費は固定: 警備業の原価の約8割は人件費と言われています。ガソリン代が下がっても、この最大コストは変わりません。むしろ、社会全体の賃上げの流れの中で、人件費は増加傾向にあります。
- 契約料金の硬直性: 一度契約した警備料金は、契約期間中は基本的に変更されません。「ガソリン代が下がったから料金も下げてほしい」という顧客からの要請があった場合、警備員の質を維持したまま対応することは非常に困難です。
B. 間接的なコスト上昇リスク
暫定税率が廃止されるのは「景気対策」が主な目的です。これにより景気が回復した場合、警備業には間接的なコスト上昇リスクが発生します。
- 需要の増加(繁忙): ガソリン価格が下がることで、建設・物流・観光など、車両を使用する他産業の活動が活発化します。工事やイベントが増えることで警備需要は増大しますが、同時に警備員の確保がより困難になります。
- 資機材コストの変動: 警備車両やコーン、誘導灯などの資機材の製造・運送コストは、ガソリン価格とは別の要因(為替、原材料費など)で動くため、必ずしも低下するとは限りません。
3. 社会全体への影響と警備業の役割
ガソリン価格が安定することは、警備業単体ではなく、地域社会全体の経済活動を円滑にします。
3.1. 地域経済の活性化と警備需要の創出
ガソリン価格が下がることで、物流コストや建設コストが下がり、それが景気全体を押し上げる効果が期待されます。
- 建設需要の回復: 建設コストの低減は、インフラ工事や民間工事の増加につながり、これは交通誘導警備の需要増加を意味します。
- 観光・イベントの増加: 消費者の可処分所得が増え、移動コストが下がることで、地域のお祭りや大規模イベントの開催が増加し、イベント警備の機会が増えます。
つまり、警備業は直接的なコストメリットを得る以上に、**社会活動が活発化することによる「警備需要の増加」**という形で大きな恩恵を受ける可能性があるのです。
3.2. 安定した社会基盤としての警備の重要性
ガソリン価格の安定は一時的な経済対策かもしれませんが、私たちの警備業の役割は変わりません。
警備会社の使命は、社会活動が活発になる中で発生する「安全上のリスク」を未然に防ぐことです。景気回復に伴い人出が増えれば、雑踏警備の技術が、工事が増えれば交通誘導の的確さが、より一層求められます。
五輪警備保障は、燃料費の削減分を、警備員の教育や装備の更新に充て、高まる地域社会の期待に応えられるよう、サービスの質の向上に努めます。
4. まとめ:警備業における「暫定税率廃止」の総括

ガソリン暫定税率の廃止は、警備業に対して明確な「プラス」の効果をもたらす可能性が高いと言えます。
| 分野 | 影響 | 評価 |
| 運営コスト | 燃料費の直接的な削減 | 大いにプラス |
| 人件費 | 影響なし(むしろ増加傾向) | 中立 |
| 社会活動 | 建設・イベント需要の増加 | プラス |
結論として、暫定税率廃止による直接的な燃料費削減は、経営の安定化に大きく貢献します。さらに、その効果が景気全体に波及し、警備需要を創出することで、警備業の活躍の場が広がるという間接的なプラス効果も見込めます。
私たち五輪警備保障は、ガソリン価格の変動に関わらず、常に最高の警備サービスを提供し続けることをお約束します。地域の皆様が安心して活動できるよう、プロの視点と技術で安全を守り続けてまいります。
引き続き、地域の安全・安心に関する情報や、警備のプロの視点をお届けしてまいりますので、ご期待ください。


