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消防訓練に必要なもの

消防訓練に必要なもの

 

お久しぶりです。

最近はお祭りやらなんやらで忙しく、執筆もなかなか進まなかった状況でしたが、今後少しづつ書いていこうと思います。

さて、今回は「消防訓練」についてのお話です。


消防訓練は何のためにやるのか

「火事なんてめったに起こらない」「消防訓練は面倒だ」そう思っている方もいるかもしれません。しかし、消防訓練は、いざという時に自分自身や周りの人々の命を守るための、非常に重要な訓練です。

火災はいつ、どこで発生するか予測できません。特にオフィスビル、商業施設、学校、病院、そして集合住宅など、多くの人が集まる場所では、一度火災が発生すると、大きなパニックと混乱を引き起こし、多くの犠牲者が出る可能性があります。

消防訓練の最大の目的は、火災発生時の適切な行動を身につけることにあります。具体的には、次の3点を習得します。

  1. 初期消火の技術: 火災を発見した初期段階で、消火器などを使って火の勢いを抑える方法を学びます。火が小さいうちに対処できれば、大火災を防ぐことができます。
  2. 避難経路の確認と誘導: 煙が充満し視界が悪い状況でも、安全かつ迅速に避難できる経路を把握し、周囲の人々を安全に誘導する役割分担と手順を習得します。
  3. 通報・連絡体制の確立: 119番通報を正確に行う手順、そして施設内の責任者や他の従業員、利用者への連絡をスムーズに行うための連携体制を確認します。

訓練によってこれらの行動が体に染みついていれば、実際に火災が発生した際も、冷静に、そして迅速に行動することができ、被害を最小限に抑えることができるのです。消防訓練は、単なる義務ではなく、「命を守るためのシミュレーション」なのです。

消防訓練は年何回くらいやるべきか

消防法では、特定の防火対象物(例えば、一定規模以上のオフィス、店舗、病院、学校など)について、年1回以上の消火及び避難の訓練の実施が義務付けられています。

この「年1回以上」というのは、あくまで法律で定められた最低限の回数です。事業所や施設の規模、業種、建物の構造、そして従業員や利用者の入れ替わりの頻度などを考慮すると、より多くの回数を行うことが望ましいとされています。

特に従業員や入居者の入れ替わりが激しい施設では、新しいメンバーに火災時の行動を周知するため、訓練の頻度を上げる必要があります。また、時間帯によって働く人が変わる施設(夜間営業やシフト勤務など)では、様々な時間帯で訓練を行うことも重要です。

大切なのは、「訓練をやった」という事実ではなく、「訓練によって、火災時に全員が適切に動けるようになった」という結果です。回数だけでなく、訓練内容の質を高め、参加者全員が真剣に取り組める環境づくりが求められます。

消防訓練に必要なアイテム

 

効果的で実践的な消防訓練を行うためには、いくつかの必須アイテムとあると望ましいアイテムがあります。

必須アイテム

  1. 訓練用消火器(水消火器) 実際の消火器ではなく、水を入れて使用する訓練専用の消火器です。本物の消火器の操作方法(安全ピンを抜く、ホースを構える、レバーを握る)を、水の噴射とともに体験することで、初期消火の感覚を掴むことができます。
  2. 火災報知機の起動装置 訓練開始の合図として、実際に火災報知機のベルを鳴らすことが重要です。大きな音を聞くことで、パニック状態に近い環境を再現し、その中でも冷静に行動する訓練になります。
  3. 避難誘導用の旗やメガホン 避難経路や非常口を示す旗や、誘導係が指示を出すためのメガホンは必須です。特に広い施設では、指示を明確に伝えるための拡声器は欠かせません。
  4. 訓練用記録書類 訓練の計画書、参加者名簿、実施記録、反省点や課題をまとめた報告書など、訓練を正式なものとし、次回に繋げるための書類が必要です。これらは、消防署への報告の際にも必要となります。

あると望ましいアイテム(訓練の質を高めるもの)

  1. 煙体験ハウスまたは発煙筒 火災時の最大の脅威の一つは煙です。無害なスモークマシンや発煙筒を用いて、実際に視界が遮られる状況を体験することで、低い姿勢での避難や、壁伝いに移動する重要性を認識できます。
  2. 負傷者役のための担架や車いす 実際の火災では、自力で避難できない負傷者や高齢者、障害者の方がいる可能性があります。救護班の訓練も兼ねて、担架などを使った搬送訓練を行うことで、より実践的な対応力を養えます。
  3. 役割別のベストや腕章 避難誘導係、初期消火係、通報係など、訓練時の役割を明確にするためのベストや腕章を用意することで、参加者全員が自分の役割を認識しやすくなります。
  4. ストップウォッチ 通報完了までの時間、初期消火開始までの時間、全員が避難を完了するまでの時間を正確に計測し、訓練の成果を客観的に評価するために使用します。

これらのアイテムを準備し、実際の火災現場を想定したリアルな訓練を行うことが、人命救助に直結する重要な要素となります。

まとめ

消防訓練は、決して形だけの義務ではありません。それは、火災という予期せぬ緊急事態から、大切な命と財産を守るための、最も効果的な投資です。

訓練の目的は、火災時の適切な行動を体で覚えることであり、年に一度の義務的な訓練だけでなく、定期的な座学や部分訓練を組み合わせることが重要です。また、訓練用消火器やメガホン、そして発煙筒といった適切なアイテムを準備することで、訓練のリアリティを高め、参加者一人ひとりが真剣に「もしも」の事態に備えることができます。

事業所の管理者、従業員、そして全ての利用者にとって、消防訓練は「面倒なこと」ではなく、「生きるための訓練」であるという意識を持つことが、地域社会全体の安全向上に繋がります。備えあれば憂いなし。今日から、もう一度あなたの施設の防災意識を見直してみましょう。

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